2000年 2月号

旅で出会った不思議なこと、おもしろい事件、悲しいこと等など・・・つれづれなるままに、書き綴り候・・・。
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マッシュ・ポテト地獄

あなたは好きなものを先に食べますか?それとも後から?

この選択を誤ると大変なことが待っているのです・・・・・。

「アメリカはやっぱり、でっかいステーキだよ!」と声高に叫びながら、ロスアンジェルスのダウンタウンにあるステーキ・ハウスへと出掛けた。

けして大きくはないステーキ・ハウスのドアを押し開きながら、黒板に書かれたメニューを見る。メニューボードには、ここの親父が書いたと思われる、読みにくい手書きの文字でこう書かれていた。

“すべてのメイン・コースには、スープとポテトが付きます”

「へぇ、そっか。ポテトはごはんの代りなんだ。」
相棒がつぶやいた。米を主食にする日本では、定食には“ごはん”がついているが、ジャガイモを主食にする欧米では“ポテト”がついているのだ。

「ポテトって、フライド・ポテトかな?それともベイクド・ポテト?」
「とりあえず、どっちでもいいや。じゃあ、サーロイン・ステーキにしようっと。」

外国での食事の注文に慣れない東洋人二人組は、親父が肉を焼いている目の前のカウンターに座り、もっとも失敗がなさそうな(よく知っている名の)メインのステーキをそれぞれ注文した。

まず先にスープが運ばれてきた。そのうち、親父が私達のメイン・コースになると思われるステーキ肉をジュージューといい音をたてて焼き始めた。

「焼き加減はどうする?」
親父がちらりとこちらを見る。
「そうだな・・・・。ミディアムでお願いします。」

あたりにはジュージューと肉の焼けるおいしそうな音と、香ばしいにおいが漂っている。こちらのお腹もつられて、グゥーと鳴った。

「さぁ。焼けたよ。」
親父はわらじほどもある大きな肉を分厚い鉄板皿にのせ、私達の目の前にドンと置いた。
「ホラ。これもあるよ。」
と小ぶりの深皿にこんもりと盛られたポテトを差し出した。

ギョエ〜っと心の中で叫んでしまった。それは、フライド・ポテトでもベイクド・ポテトでもなく、私がもっとも嫌いなイモの形態であるマッシュ・ポテトだったのだ。
しかも皿にテンコ盛りである。エェーイ!一気に食べてしまえ!
私は肉が冷めないうちにと、一気に大嫌いなマッシュ・ポテトを平らげた。

さぁ、やっとお待ちかねのメインの本場のアメリカン・ステーキへとりかかろうとしたその時、

「やぁ、若いの。よく食べるなぁ。そんなにポテトが好きか?そんなに好きならもっと食いな。ホレ!」

とわき目も降らずに、一気にマッシュ・ポテト平らげた様子を見て、ステーキ屋の親父は「腹が減っているんだろう。ウマイか、そうかそうか。若いんだし、もっと食べな。」と、必死になって空にした深皿に、ドバっと
マッシュト・ポテトのお代わりを盛ってくれたのである。目の前には、たった今片付けたはずの“こんもり盛られたマッシュド・ポテト”が再び出現した。

「助けてくれ〜〜。」

こうして、終わるところを知らない“マッシュ・ポテト地獄”が始まったのである・・・・。

つれづれなるままに旅日記

No.014

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小僧