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旅で出会った不思議なこと、おもしろい事件、悲しいこと等など・・・つれづれなるままに、書き綴り候・・・。

あなたは好きなものを先に食べますか?それとも後から?
この選択を誤ると大変なことが待っているのです・・・・・。
「アメリカはやっぱり、でっかいステーキだよ!」と声高に叫びながら、ロスアンジェルスのダウンタウンにあるステーキ・ハウスへと出掛けた。
けして大きくはないステーキ・ハウスのドアを押し開きながら、黒板に書かれたメニューを見る。メニューボードには、ここの親父が書いたと思われる、読みにくい手書きの文字でこう書かれていた。
“すべてのメイン・コースには、スープとポテトが付きます”
「へぇ、そっか。ポテトはごはんの代りなんだ。」
相棒がつぶやいた。米を主食にする日本では、定食には“ごはん”がついているが、ジャガイモを主食にする欧米では“ポテト”がついているのだ。
「ポテトって、フライド・ポテトかな?それともベイクド・ポテト?」
「とりあえず、どっちでもいいや。じゃあ、サーロイン・ステーキにしようっと。」
外国での食事の注文に慣れない東洋人二人組は、親父が肉を焼いている目の前のカウンターに座り、もっとも失敗がなさそうな(よく知っている名の)メインのステーキをそれぞれ注文した。
まず先にスープが運ばれてきた。そのうち、親父が私達のメイン・コースになると思われるステーキ肉をジュージューといい音をたてて焼き始めた。
「焼き加減はどうする?」
親父がちらりとこちらを見る。
「そうだな・・・・。ミディアムでお願いします。」
あたりにはジュージューと肉の焼けるおいしそうな音と、香ばしいにおいが漂っている。こちらのお腹もつられて、グゥーと鳴った。
「さぁ。焼けたよ。」
親父はわらじほどもある大きな肉を分厚い鉄板皿にのせ、私達の目の前にドンと置いた。
「ホラ。これもあるよ。」
と小ぶりの深皿にこんもりと盛られたポテトを差し出した。
ギョエ〜っと心の中で叫んでしまった。それは、フライド・ポテトでもベイクド・ポテトでもなく、私がもっとも嫌いなイモの形態であるマッシュ・ポテトだったのだ。
しかも皿にテンコ盛りである。エェーイ!一気に食べてしまえ!
私は肉が冷めないうちにと、一気に大嫌いなマッシュ・ポテトを平らげた。
さぁ、やっとお待ちかねのメインの本場のアメリカン・ステーキへとりかかろうとしたその時、
「やぁ、若いの。よく食べるなぁ。そんなにポテトが好きか?そんなに好きならもっと食いな。ホレ!」
とわき目も降らずに、一気にマッシュ・ポテト平らげた様子を見て、ステーキ屋の親父は「腹が減っているんだろう。ウマイか、そうかそうか。若いんだし、もっと食べな。」と、必死になって空にした深皿に、ドバっとマッシュト・ポテトのお代わりを盛ってくれたのである。目の前には、たった今片付けたはずの“こんもり盛られたマッシュド・ポテト”が再び出現した。
「助けてくれ〜〜。」
こうして、終わるところを知らない“マッシュ・ポテト地獄”が始まったのである・・・・。
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